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1 『少年たちはなぜ人を殺すのか』 キャロル・アン・デイヴィス(文春新書)
イギリス・アメリカを中心に幼くして殺人を起こした少年・少女たちの事例が列挙されています。その後、事件の裁判・報道を分析しながら、今後の社会の在り方を問う内容です。
事件の列挙が半分くらいを締めています。1日2事例ずつ読もうとしたところ、あまりの悲惨さに居たたまれなくなり1事例ずつ読むことになりました。
また、社会では、大人は善・子どもは悪と決めつける傾向があり、大人の証言を重要視する傾向が強いと主張していました。そして殺人を犯した少年・少女たちは生まれつきの悪と断じる論調が多いと嘆いています。
確かに、親が暴力的だと、それを模倣するのが子どもですから、殺人にまで発展していくのは自然の成り行きに見えます。しかし、暴力がない生活になることによって、その性質は消えていく事例も多々あり、暴力など振るわなくても良いならそれに越したことはないというのが子どもたちの本来の性質でしょう。
一部の例外を除き、ほとんどの事例では、子どもにおける性善説が成り立つと思えました。
少年たちはなぜ人を殺すのか (文春新書 632)
2 『山怪 弐 山人が語る不思議な話』田中 康弘(ヤマケイ文庫)
『山怪』の続編となります。山怪に入らなかった余ったネタだろうから、パワーが落ちているのではないか? と怪訝な気持ちで読み始めましたが、そんなことはありませんでした。
それどころか、話を引き出す技術が向上していて、不思議なことや怖いことにあったことがないと言う人からも、そういえば……という感じで聞き出しています。そういう話の方がリアリティがあって面白かったりするのです。
また、地域によってはタヌキの仕業だったり、キツネの仕業だったり、四国では狗神だったりするのですが、ただの不思議な話で終わってしまう地方もあり、場所による解釈の違いも指摘されていました。
酒の席での奇譚語りの域がでないですが、テレビが普及していなかった時代の娯楽を感じさせ、山の中で熾火を見つめ暗闇を背にしながら聞いている雰囲気があって、それ自体が神秘と感じる時代になったのでしょう。
3『魚ビジネス』ながさき一生(クロスメディア・パブリッシング)
「食べるのが好きな人から専門家まで楽しく読める魚の教養」が副タイトル。
角上魚類が売れているわけや、荒巻鮭と、越後村上の塩引き鮭の違いに言及しているところは流石。
魚好き(食べる方)の人、これから魚を楽しみたい人は目を通しておいて損はないですね。
ちなみに、サバ缶は、製造月が秋冬のもので古いものがおいしいとのこと。秋冬に脂がのり時間をかけてなじんでいくそうです。
4『パワハラ上司を科学する』津野香奈美(ちくま新書)
やっかいなのは、加害者に自覚がない場合がほとんどで、周りで見ている人も、それをパワハラだと思っていなかったり、賛同したり、容認したりすることです。
また、仲が良い職場も要注意です。仲が良いと言うことは、その空気になじまない人を知らず知らずのうちにのけ者にしたり、その人が悪いという雰囲気ができてしまいます。
みんな、気持ちよく成果が上がる職場であってほしいものです。