1 O嬢物語とは
フランス文学に異彩を放つ代表的なエロチック文学の古典。古典と言ってもフランスで刊行されたのが1954年で100年も経っておらず、それでも古典としての雰囲気があるのは、人間の変わらぬ性を描いているからでしょうか。
内容はSM小説のM視点で書かれた、きめ細かい描写が売りの作品です。
前書きにあるようにマルキ・ド・サドの影響が大きく、サドの小説『美徳の不幸』のヒロイン、ジュスチーヌにあこがれるような女性を書いているとのこと。O嬢の慎ましやかな振る舞いが強調されており、マゾヒズムを楽しみながら、その姿勢を崩さない姿が描かれています。
エロチック文学とポルノ小説の違いは、性器の描写にあると読んだことがありますが、その視点で見る限り、この小説は明らかに文学的でした。
2 内容
恋人を愛しているOは、怪しげな城館ロワッシイへ連れていかれます。 その城館で、得体の知れない男たちに自由にされて、嗜虐の快楽に徐々に目覚めていきます。
ロワッシイから解放されたOは、恋人の尊敬する友人? ステファン卿に譲り渡され、その男の好みに調教されていくのでした。
同僚の女性との同性愛や、謎の女調教師? によって、鞭打ちや烙印や、リングを用いた拷問にも幸せを感じるようになったOは、ステファン卿に捨てられたときには死を選ぶほどになっていたのです。
3 感想
西洋では、教育や家庭のしつけの現場で、鞭を用いる文化があるようで、その場面の記述がある小説等も多いです。わたしには、馴染みが薄い文化なので、その辺がピンときませんでした。しつけなどで、素手で叩くことは日本でもあると思いますが、殴った方も手にダメージを受けるので、なんとなく分かります。しかし、鞭などの道具を使うと、一方的に打たれた方だけが痛いので、愛情表現としてしっくりこない感がありました。いろいろな種類の鞭の描写が細かく西洋文化の鞭へのこだわりに驚かさえました。
男尊女卑の文化で、女性は男性の快楽のためにあるという社会が描かれていますが、女性視点で女性が書いたもので、その社会での女の幸せが書かれていると思います。
現代の社会では考えられない思想ですが、戦争などが身近な社会ではそうなってしまうのかとも思いました。
過ぎ去った一つの性的な文化の一場面を見ることができると思います。
ちなみにOという文字は、穴を表しながらゼロをも表すと、示唆に富んだ呼び名ですね。
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