第二の人生、気ままに生きる

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『山中静夫氏の尊厳死』南木佳士(文春文庫)

山中静夫氏の尊厳死 (文春文庫 な 26-10)

長野県の病院で呼吸器系の癌患者の担当医師である主人公の元に、山中静夫氏がやってきます。氏は、肺がんが骨などに転移し、余命幾ばくもありませんでした。わざわざ山梨から家族と離れ長野県の病院に来た理由は、故郷の山を見ながら死にたいからと言うのです。
自分の生家(現在は空き家)の近くにある墓に入るために綺麗にしておきたいと、出歩けるうちは外出を許可してもらいたい願います。
主人公は、死んでいく患者を看取るのに疲れ精神も限界近くまで来ていたのですが、山中氏を受け入れ希望通りの診療をすることにしました。
山梨にある妻の実家に養子に入り我慢して暮らしてきたので最期くらい自分のやりたいようにするという氏の希望を家族も承諾せざるをえませんでした。
そして、死期が近づいたら、できるだけ苦しまないように処置をしてくれと医師に頼むのです。つまり、モルヒネを容赦なく使ってくれと言うことです。
モルヒネの量を増やせば楽になりますが、多く入れすぎると呼吸が止まるギリギリのラインを見定めながら行う末期治療になります。
医師の裁量で事実上の安楽死をさせることも可能なのです。
家族は、体中にチューブを繋がれ、寝たきりの山中氏を見て、もう十分だと言います。しかし、主人公の医師は、患者の意志を尊重し、モルヒネの量を加減していきます。氏は、楽にしてくれと言っているけれど死なせてくれとは言っていない……尊厳死とは、安楽死とは何か、答えが出ない葛藤を描いていました。

文庫本にはもう一本「試みの堕落論」という短編が収められています。作者がうつ病の症状が重かったときに書いたということで、若いバストが大きな女性が登場します。南木さんの鬱症状が重い時に書いた作品の特徴なので、これはこれで楽しめます。

山中静夫氏の尊厳死 (文春文庫 な 26-10)

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