第二の人生、気ままに生きる

60歳で退職しました。その後の自由な人生を記録と周辺のおもしろ情報など

『マイ・ディア・ポリスマン』小路幸也(祥伝社文庫)

特に事件らしい事件が起きず、目標らしいものもない平凡な日常を描いたエンターテインメント? な小説です。ストーリーとは、主人公の成長を描くことだとしたら、状況の進展のみでストーリーはありません。そんな小説のどこが面白いか、その答えがこの本にありました。
キャラクターがユニーク、と言っても、今では珍しくない程度のささやかな超能力を持つ人たちが主人公です。人たちが主人公と言うのは、主人公がたくさんいるということで、一人一人が主役を張れる個性を持っています。
物語は24の章に区切られており、章のタイトルが、その章の主人公(一人称視点)にあたります。視点の人物を交代させると読みにくくなるのですが、タイトルで明示することのよってそれを緩和しています。
ちゃんとしたストーリーを書けば、大活躍しそうなキャラクターたちですが、平和な街ではこれと言って目立った活躍の場がありません。しかし、悪いことが起こりそうなことを未然に防ぐために、その力を使っているのです。
平和って、悪いことが起こる前に小さく動いて、維持されていくものなのです。
そんな、当たり前のことを再認識させてもらえました。
ちなみに、表紙のキャラクターは、良い人と悪い人を見分ける勘を持つ巡査と、伝説の平場師(掏摸)であった祖母の技術を受け継いだ漫画家志望の高校生です。