
心は、見えないし触れない実態はないが、確かに存在するような厄介な存在です。何が厄介かと言えば科学の対象として研究しにくい性質であることでしょう。心を研究することは、何かしらをインプットし、対象が行動などでアウトプットしたものを心の動きとしてとらえなければならず、インプッとするもの意外の刺激を取り除いたうえで実験をしなければなりません。
初期の実験では、心がないものと考え、刺激→反応の研究(パブロフの犬)から始まりますが、刺激→認知→反応のように認知することが認められるようになっていきます。
つまり、身心一元論から身心二元論に進化していった心理学史があるわけです。
それらの過程を、歴史的な実験例をあげながら順を追って解説していくのが本書です。
これらの実験の解説は巷に溢れていますが、その多くが、先行者の解説の受け売りも多く、それによって、実験の信義が曲げられているものも見受けられると著者は嘆きます。本書では、出来るだけ実験の原書(論文)などを丹念に調べ、他の人間の思考が入らないように書いたと述べています。
最後に、AIの登場により、身心二元論から、身心一元論への回帰が予感されるようになってきており、今後の心理学の発展に不安と期待が混じり合った心情が記してあり、今の時代を感じました。