今週のお題「山」
山の話題に事欠かないのですが、今週のお題として書くとなると、考えてしまいます。
昨年、全国的に話題になった「熊」の話でも書きましょうか。
今から15年くらい前の話ですが、熊とバッタリ出会ったことがあります。
場所は、新潟県阿賀町土井集落(現在は無人)から福島県西会津に抜ける九才坂峠の手前です。九才坂峠は、山岳古道で、徒歩でのみ通行が可能ですが、沢の中を歩く場所もあるので、行くなら長靴が良いでしょう。

10月7日、秋晴れで、穏やかな日でした。
現在は無人になっている土井集落(当時は3戸)に車を止め、長靴を履いて出発しました。
トチやクルミがたくさん落ちていて、ナメコも豊富に生えているのには驚きでした。山の中の集落は当時から高齢化が深刻化して採る人もいないのでしょうか。

クマよけに叩いて音を鳴らす一斗缶が原型を留めないくらい叩かれています。
どんだけ、熊がいるんだよと、この辺は笑って通り過ぎました(これがいかんかった)

小さな滝があって、岩を丸く削り御鉢のようになっています。水もこれでもかというくらい透明に澄んでいて神々しくもありました。
九才坂峠で昼飯を食べようと、あと少しのところまで来た時です。
このカーブを曲がったあたりで、右側の斜面の草むらがガサゴソと音を立てました。

はぐれ猿かなと思い、観ていたら、転がり出てきた黒い塊。
「げっ、真っ黒ってことは、熊!」
黒い塊は熊へと姿を変えつつあります。
「熊とであったときは、熊の目を見ながら静かに後ろに下がっていく」
ということは分かっていたし、子供の頃は冬期間腹をすかせた野良犬を相手になんどもやっていたことなので、簡単だろうと思ってました。
ところが、遠くから猟犬たちの吠える声が聞こえてくるではありませんか。
「この熊は、マタギに追われて我を忘れているパニック状態である」
ということに気が付きました。
教科書通りの対応だとやられると思い、後ろは山の斜面に沿ってカーブしていて下り坂。素早く下がれば熊の視界から姿を消すことができるし、熊は登りは得意だが、下るのは不得意であるので、逃げるのが得策だと判断しました。
熊が体制を立て直す前に、反転ダッシュで風のように駆け下りて逃げました。
熊は追ってきませんでした。
さて、このあと、どうしようかと思案した結果、元来た道を降って帰ることにしました。
熊はいなくなっているでしょうが、間違って銃で撃たれたり、猟犬に襲われたりしたら、熊より被害甚大です。
山の中でクマに会ったけど、怖いのは「銃>猟犬>熊」の順番で、やっぱり人間が一番怖いわと思った日でした。